『管理不全空き家の指定制度とは? 2023年法改正で何が変わったのか』
✏️ 記事:管理不全空き家の指定制度とは?
2023年の空家対策特措法の改正により、新しく 「管理不全空家(かんりふぜんあきや)」 という区分ができました。
これは、放置すると 特定空家(倒壊等の恐れがある危険な空き家)に向かう“手前の状態”の家を対象としたものです。
空き家問題が全国で深刻化する中で、「危険になる前の段階から行政が指導できるようにする」ための制度と言えます。
■ 1. 管理不全空家とは、どんな空き家?
法律上、次のような状態が該当します。
雑草が伸び放題で景観を著しく損ねている
郵便物が大量に溜まり、防犯上問題がある
外壁などに破損が見られ、このまま放置すると倒壊等のおそれが強まる
ゴミの放置など、衛生上問題がある
ポイントは、まだ“特定空家”ほど危険ではないが、このまま放置すれば近隣に迷惑が及ぶ状態 であること。
■ 2. 管理不全空家に指定されるとどうなる?
所有者は、行政から
「指導」→「勧告」
という段階的な改善要求を受けます。
「指導」→「勧告」
という段階的な改善要求を受けます。
特に注目すべきは…
✅ 勧告されると固定資産税の住宅用地特例が解除される
本来、住宅が建っている土地には
「住宅用地特例(最大1/6の減額)」
があります。
「住宅用地特例(最大1/6の減額)」
があります。
しかし管理不全空家で勧告を受けると、
翌年度から特例が使えなくなる可能性がある ため、税負担が大幅に増えることがあります。
翌年度から特例が使えなくなる可能性がある ため、税負担が大幅に増えることがあります。
これは所有者にとって非常に大きいインパクトです。
■ 3. 特定空家との違いは?
| 区分 | 状態 | 行政の権限 | 税の特例解除 |
|---|---|---|---|
| 管理不全空家(新設) | 放置すると危険に向かう状態 | 指導・勧告 | 勧告で解除 |
| 特定空家 | 倒壊の恐れ、衛生・防犯上危険 | 命令・行政代執行可能 | 勧告で解除 |
つまり、危険になる前の段階から行政が踏み込めるようになった ということです。
■ 4. なぜこの制度が生まれたのか?
空き家は今後も増え続ける
危険化してからでは修繕が高額になり、所有者の負担が増える
行政としても「早めの予防」が必要
こうした事情から、
「危険になる前にブレーキをかける制度」 として設けられました。
「危険になる前にブレーキをかける制度」 として設けられました。
■ 5. オーナーが今すぐできる対策
管理不全空家に指定されないためには、以下が基本です。
✓ 最低年1~2回の敷地・建物点検
雑草・ゴミ・郵便物のチェックは必須。
✓ 不在が長期化するなら管理委託を検討
遠方の相続人に特に有効。
✓ 将来の利活用や売却を早めに検討
「放置」が一番リスクを高めます。
■ 6. まとめ:管理不全空家制度は“予防のための仕組み”
管理不全空家の指定制度は、
危険になる前に行政が関与できる
所有者の責任が明確になる
地域の安全と景観を守る
という役割を担っています。
空き家の所有者はもちろん、
将来相続する可能性がある方にとっても 知っておくべき重要な制度 です。





