相続放棄をしても安心できない? ― 相続放棄後に不動産で注意すべきポイント ―
相続放棄をすれば、原則として責任はありません
相続放棄が家庭裁判所で受理されると、
その人は最初から相続人ではなかったものと扱われます。
そのため原則として、
不動産の所有者ではない
管理責任も負わない
という立場になります。
管理責任が問題になるのは「例外」だけ
相続放棄後に注意が必要なのは、
**放棄した時点で、その不動産を「現に占有していた場合」**に限られます。
この場合にのみ、
次の管理者へ引き渡すまでの間、
最低限の保存行為(倒壊防止など)が求められます。
現に占有していなければ、管理責任は生じません。
「現に占有」と判断されやすいケース
被相続人と同居していた
空き家でも鍵を管理し、自由に出入りしていた
自分の判断で管理・手入れをしていた
※名義や感情ではなく、実態で判断されます。
占有とはならない例
相続人だったという立場
固定資産税の通知が届く
行政から連絡が来た
これだけで管理責任が生じることはありません。
トラブルを防ぐために
相続放棄を検討する際は、
自分が「現に占有している状態か」を確認
放棄後は管理行為を続けない
関与の実態を明確に断つ
この整理が重要です。
まとめ
相続放棄をすれば、原則として不動産の管理責任は負わない
問題になるのは、放棄時に現に占有していた場合のみ
正しく理解すれば、相続放棄は有効な選択肢です。
こちらの記事も読まれています。
「事故物件って本当はどうなの?知っておきたい基礎知識と意外な魅力」 はじめに
「事故物件」という言葉、テレビやネットで見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか?“ちょっと怖い”イメージを持たれがちですが、実はこの事故物件、きちんと理解すれば“知って得する不動産知識”のひとつになるんです。
今回は、これから不動産を借りたり買ったりしようと思っている方にも役立つ、事故物件の基礎知識とその「意外な魅力」について、わかりやすくご紹介します […]
知らずに買うと大変!? – 『周知の埋蔵文化財包蔵地』とは? 不動産を購入したり、新築を計画したりするとき、土地の歴史について考えたことはありますか? […]
民法大改正 その2 『契約不適合責任』 令和2年4月1日、『瑕疵担保責任』から『契約不適合責任』に変わります。
売主の責任は、瑕疵担保責任の時よりも重くなります。
買主にとっては、中古住宅をより安心して買いやすくなる内容です。
『契約不適合責任』は、契約内容と異なるものを売却した時、売主が契約不履行の責任を負うことになります。
例えば、雨漏りしている🏠の売買契約を締結する場合、契約内容に「こ […]
権利がないからと言ってあきらめない――地役権という希望の道 今日は、不動産に関心のある方なら一度は直面するかもしれない、「隣地を通らないと道路に出られない」「水路が他人の土地を通っている」などの問題――そう、“地役権”のお話です。
「地役権なんて、持ってないから無理でしょう?」
と、あきらめる前に、ぜひ最後まで読んでみてください。
地役権とは?専門用語をかみ砕いてみよう
**地役権(ちえきけん)**とは、ざ […]
土地の登記簿、よーく見てみたら…明治時代の抵当権! 休眠担保権の抹消登記でスッキリ解決! 「うちの土地、先祖代々受け継いできたものだし、今さら何か問題なんてないよね~」
そう思っているあなた、ちょっと待ってください!もしかしたら、あなたの土地の登記簿には、明治時代に設定された古い抵当権が残っているかもしれません。
「え?明治時代の抵当権?そんなの今さら何の影響があるの?」
そう思われた方もいるかもしれません。しかし、この古い抵当権、放置しておくと思わぬトラブ […]