空家の抱える問題と課題、そして対策
～放置しないことが最大のリスク回避～
空家が増え続ける日本の現実
総務省の住宅・土地統計調査（2018年）によると、日本全国の空家は 約849万戸。住宅総数に占める割合は13.6％で、過去最高を更新しました。少子高齢化や人口減少、都市部への人口集中により、この数字は今後も増えると予測されています。
空家は「使わない建物」と思われがちですが、実は社会全体にとっても大きな課題を抱えています。
空家が抱える問題点
建物の老朽化・倒壊リスク
人が住まなくなると、通風や換気が行われず、劣化が加速します。屋根や外壁の破損が進み、最悪の場合は倒壊の危険も。台風や地震時には近隣への被害につながります。
人が住まなくなると、通風や換気が行われず、劣化が加速します。屋根や外壁の破損が進み、最悪の場合は倒壊の危険も。台風や地震時には近隣への被害につながります。
防犯・治安の悪化
空家は不審者の侵入、放火、不法投棄の温床となるケースがあります。「誰も住んでいない」と周囲から認識されることで、地域の安全にも影響します。
空家は不審者の侵入、放火、不法投棄の温床となるケースがあります。「誰も住んでいない」と周囲から認識されることで、地域の安全にも影響します。
景観や衛生環境の悪化
草木が伸び放題になった庭、割れた窓ガラスや壊れた塀は、周辺の景観を損ないます。害虫や小動物の発生源にもなり、近隣住民の生活環境にも悪影響を与えます。
草木が伸び放題になった庭、割れた窓ガラスや壊れた塀は、周辺の景観を損ないます。害虫や小動物の発生源にもなり、近隣住民の生活環境にも悪影響を与えます。
固定資産税など維持費の負担
誰も住んでいなくても、固定資産税や都市計画税は毎年かかります。さらに、「特定空家等」に指定されると住宅用地特例（固定資産税の軽減措置）が外れ、税負担が数倍に跳ね上がることもあります。
誰も住んでいなくても、固定資産税や都市計画税は毎年かかります。さらに、「特定空家等」に指定されると住宅用地特例（固定資産税の軽減措置）が外れ、税負担が数倍に跳ね上がることもあります。
空家問題を放置したときのリスク
行政から「特定空家等」に認定されると、指導・勧告を経て、最終的には行政代執行で取り壊され、費用は所有者に請求されます。
相続人が複数いる場合、誰が管理するのか決まらず放置され、時間が経つほど解決が難しくなります。
空家対策の選択肢
では、所有者はどのように空家と向き合えば良いのでしょうか。主な対策を整理します。
1. 利活用する
賃貸に出す：リフォームやリノベーションを行い、賃貸住宅やシェアハウスとして活用。
店舗・事務所利用：立地によってはカフェや事務所に改装する例もあります。
2. 売却する
不要であれば早めに売却を検討することも選択肢です。築年数が経過すると価値は下がる一方なので、放置するほど売却しにくくなります。
3. 解体・更地化する
建物が老朽化している場合は解体を選ぶケースも。ただし、更地にすると固定資産税が上がる可能性がある点に注意が必要です。
4. 行政制度を活用する
空家バンク：自治体が運営する空家情報登録制度。移住希望者や活用を探している人にマッチングできます。
補助金・助成制度：解体費用やリフォーム費用の一部を補助する制度が各自治体にあります。
まとめ
空家は「そのままにしておく」のが最も危険です。
老朽化や防犯リスク、税負担の増加など、問題は年々深刻化します。
老朽化や防犯リスク、税負担の増加など、問題は年々深刻化します。
大切なのは、 「将来どうするか」を早めに考え、行動に移すこと。
賃貸、売却、解体、利活用──選択肢は状況に応じて様々です。
賃貸、売却、解体、利活用──選択肢は状況に応じて様々です。
「空家をどうするか」悩んだときは、まず専門家に相談し、選択肢を整理することが第一歩になります。
こちらの記事も読まれています。
知らずに買うと大変！？ – 『周知の埋蔵文化財包蔵地』とは？ 不動産を購入したり、新築を計画したりするとき、土地の歴史について考えたことはありますか？ […]
建築確認と検査済証とは？ スムーズな取引のために知っておきたいポイント 不動産の購入や建築を検討していると、「建築確認」や「検査済証」といった言葉を耳にすることがあると思います。これらは建築物の安全性や法的適合性を証明する重要な書類ですが、具体的にどのようなものなのか、
なぜ重要なのかを詳しく解説します。
1. […]
『特定空家』とは？知らないと損する！ 放置空き家のリスクと対策 こんにちは！今回は、不動産に関わる重要なテーマ 「特定空家」 について解説します。「実家が空き家のまま…」「近所に放置された空き家がある…」そんな状況はありませんか？
実は、その 空き家が『特定空家』に指定されると、固定資産税が6倍になる […]
見落としがちな落とし穴も？ 住み替えを成功させる“資金計画”の立て方 終の棲家を考えるうえで避けて通れないのが「お金の話」。住み替え先が決まっても、資金計画が甘いと“老後の暮らし”が苦しくなるリスクもあります。
そこで今回は、失敗しないための資金計画の立て方を、できるだけわかりやすく解説します。
■ […]
空き家の最終手段「解体」という選択 ～その一歩が、将来の不安をなくすかもしれません～
少子高齢化が進み、全国的に空き家の増加が深刻化する中、「相続したけど住まない」「使い道がない」というお悩みをお持ちの方も少なくありません。
空き家の管理や売却を検討される際、**最終的な選択肢となるのが『解体』**です。今回は、不動産のプロとして「解体という選択がどう未来に影響するのか」について、わかりやすくお伝えします。 […]
