「信頼できるはずの後見人」が財産を奪う?制度の盲点と私たちの備え
近年、家庭裁判所が選任する成年後見制度が、財産管理の重要な制度として知られるようになってきました。
しかし——その一方で、「後見人による不正使用」や「財産の使い込み」といった深刻な問題も起きていることをご存じですか?
しかし——その一方で、「後見人による不正使用」や「財産の使い込み」といった深刻な問題も起きていることをご存じですか?
本記事では、制度の裏に潜む“闇”にスポットを当てながら、不動産を所有するご家族が知っておくべきリスクと対策を、わかりやすく解説します。
そもそも成年後見制度とは?
簡単におさらいしましょう。
成年後見制度とは、認知症や知的障がいなどにより判断能力が不十分な方に代わって、「後見人」が法律行為や財産管理を行う制度です。
家庭裁判所が選任する法定後見と、元気なうちに契約する任意後見があります。
家庭裁判所が選任する法定後見と、元気なうちに契約する任意後見があります。
闇①:後見人による財産の不正使用
最高裁判所の統計によれば、2020年の1年間で判明した後見人による不正行為の件数は約200件以上、
その被害総額はおよそ20億円に上ります。
家族が後見人になった場合の使い込み
「本人のために使った」と言いながら、自分の生活費やギャンブルに使っていた例も…
専門職後見人(弁護士・司法書士など)による横領事件
本人が気づけない立場にあることを逆手にとり、口座から無断で引き出すケースも実際に報道されています。
【実例】
東京都内のケースで、弁護士が高齢女性の資産約2,000万円を無断で引き出し、海外旅行や高級品の購入に使用。被害家族が気づいたときには大半の資産が消えていた。
東京都内のケースで、弁護士が高齢女性の資産約2,000万円を無断で引き出し、海外旅行や高級品の購入に使用。被害家族が気づいたときには大半の資産が消えていた。
闇②:裁判所の監督が「万能ではない」
「後見人は家庭裁判所が監督しているから安心」という声をよく聞きますが、それは必ずしも万全ではありません。
裁判所の監督は年に1回程度の報告書提出が中心
報告内容のチェックも事務的になりがち
家族の同意や意見を求められないことも多く、気づいたときにはすでに被害が出ていることも
闇③:一度始まるとやめられない「制度の重さ」
後見制度は、一度開始されると原則として終身続く仕組みです。
たとえ本人の状態が改善しても、簡単には解除できません。
また、後見人の交代も簡単ではなく、監督のゆるさと相まって、ずるずると問題が続いてしまう危険もあります。
また、後見人の交代も簡単ではなく、監督のゆるさと相まって、ずるずると問題が続いてしまう危険もあります。
不動産所有者はどう備えるべきか?
不動産を持つ高齢者にとって、成年後見制度はまさに両刃の剣。
制度を使えば取引や管理が可能になる一方で、不正のリスクもあります。
✅ 事前に備える3つのポイント
信頼できる人と「任意後見契約」を締結する
→ 自分で信頼できる人を指定し、公正証書で残すことができます。
→ 自分で信頼できる人を指定し、公正証書で残すことができます。
財産の一覧や不動産登記簿などを整理しておく
→ 財産を見える化することで、不正の抑止にもなります。
→ 財産を見える化することで、不正の抑止にもなります。
複数人による監視体制を整える
→ 家族で情報共有し、「一人の後見人に全てを任せない」体制を。
→ 家族で情報共有し、「一人の後見人に全てを任せない」体制を。
まとめ:制度は「使い方次第」、透明性がカギ
成年後見制度は本来、本人の権利を守るための大切な仕組みです。
しかし、制度の仕組みを理解せずに利用したり、監督体制が緩いまま任せきりにすると、人生の大切な資産である不動産や預金が失われてしまうリスクも。
しかし、制度の仕組みを理解せずに利用したり、監督体制が緩いまま任せきりにすると、人生の大切な資産である不動産や預金が失われてしまうリスクも。
大切なのは「制度を過信せず、透明性を意識すること」。
そして「元気なうちに、信頼できる人としっかり準備しておくこと」。
そして「元気なうちに、信頼できる人としっかり準備しておくこと」。
📝コラム:
成年後見制度が必要になる前に、不動産の「信託」や「生前贈与」など他の選択肢も検討しておきましょう。
その方が柔軟でコントロールもしやすく、リスク回避に繋がるケースもあります。
その方が柔軟でコントロールもしやすく、リスク回避に繋がるケースもあります。