【第12回】山口市へ移住!住まいのコンシェルジュから見た魅力!
皆様、こんにちは。
「自然に囲まれてのんびり暮らしたい」「子どもをのびのびと育てられる環境へ引っ越したい」「でも、日々の買い物や病院が不便になるのは生活に支障が出るから避けたい」 移住を考え始めたとき、理想の暮らしと実際の生活とのギャップに悩む方は非常に多いのではないでしょうか。美しい景色や美味しい食べ物の情報だけを見て引っ越しを決めてしまい、後になってから「こんなはずじゃなかった」と戸惑ってしまうケースも決して少なくありません。
そこで本ブログでは、「山口県13市6町の移住へのアプローチ」と題して、それぞれの市や町が移住される方に向けてどのような取り組みを行っているのか、そしてその街の「ありのままの姿」はどうなのかを、連載形式で一つひとつ丁寧にお伝えしています。
連載第12回となる今回は、山口県の県庁所在地である「山口市(やまぐちし)」を取り上げます。
県庁所在地としての充実した都市の機能と、海外からも高く評価される歴史や文化、そして合併によって生まれた広大な面積がもたらす豊かな自然。一見すると移住先としてとても恵まれているように見えますが、実際に毎日を過ごすとなると、どのような良さや苦労があるのでしょうか。
この記事では、2024年から2026年にかけての最新データや行政の支援制度に基づき、山口市の奥深い魅力はもちろんのこと、移住前に絶対に知っておいていただきたい「生活の壁」や「不動産選びの注意点」まで、包み隠さずお伝えします。これから山口市への移住を検討されるご家族にとって、後悔のない選択をするための道しるべとなれば幸いです。
1. 観光地ではない、「日常」としての歴史と自然。山口市の本当の魅力
まずは、山口市がどのような街なのか、その本質的な魅力から見ていきましょう。一言で表現するならば、「都市の便利さと、息をのむような歴史・自然が、ごく普通の『毎日の生活』として溶け込んでいる街」です。
ニューヨーク・タイムズが評価した「等身大の美しさ」
2024年、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が発表した「2024年に行くべき52カ所」において、世界中の名だたる候補地の中から、山口市が3番目に選ばれました。このニュースは日本国内でも大きな話題となりましたが、海外のメディアが特に高く評価したのは「大規模な観光開発による過度な混雑がなく、歩いて回れるコンパクトな街の中に洗練された文化が息づいている」という点でした。
そのシンボルと言えるのが、国宝に指定されている「瑠璃光寺五重塔(るりこうじごじゅうのとう)」です。全国に4つしかない檜皮葺き(ひわだぶき)の屋根を持つ日本三名塔の一つであり、約600年間にわたり地域のシンボルとして親しまれてきました。
長らく約70年ぶりとなる「令和の大改修」が行われていましたが、2025年12月に工事が無事に完了し、現在は新しく美しく葺き替えられた檜皮葺屋根の全貌を見ることができます
春は桜、夏はホタル。生活のすぐそばにある「一の坂川」
歴史的な建造物だけでなく、自然と日々の暮らしの距離が驚くほど近いのも山口市の大きな魅力です。市街地の中心を流れる「一の坂川(いちのさかがわ)」は、京都の鴨川に見立てて整備されたと言われています。 春には川沿いに約200本の桜が咲き誇り、初夏(5月下旬から6月上旬)には、国の天然記念物にも指定されているゲンジボタルが乱舞します。県庁や市役所、中心商店街から歩いてすぐの場所で、仕事帰りに天然のホタルを眺めながら家路につくことができる。このような体験が当たり前のようにできる県庁所在地は、全国を探してもそう多くはありません。
日常の疲れを癒やす「湯田温泉」と無料の足湯
市街地のすぐ隣には、約800年の歴史を持つ「湯田温泉(ゆだおんせん)」があります。傷ついた白狐が湯に浸かって傷を癒やしたという伝説が残るこの温泉は、アルカリ性単純温泉の柔らかなお湯で「美肌の湯」として親しまれています。 移住された方からよくお聞きするのが、「休日のリフレッシュや、仕事帰りの疲れを癒やす温泉が、歩いて行ける『生活圏内』にあることが信じられないくらい嬉しい」というお声です。街のあちこちに無料で入れる「足湯」が6カ所もあり、お買い物ついでや散歩の途中に、地元の人たちと並んでのんびり足を浸す風景は、山口市ならではの温かい日常のひとこまです。
外から来た人を受け入れる、学生街のオープンな風土
地方への移住で多くの方が不安に感じるのが、「地元のコミュニティに馴染めるかどうか」という点です。古くからの集落では、独自のルールや閉鎖的な雰囲気があるのではないかと心配される方も多いでしょう。 その点、山口市は山口大学や山口県立大学などの学校が集まる「大学生の街」という側面を持っています。毎年、県外からたくさんの若者が引っ越してきて一定期間を過ごすため、街全体に「外から来た人を自然に受け入れる」というオープンな雰囲気が根付いています。
また、地方都市ではお店が閉まってシャッター通り化することが問題になりがちですが、山口市の中心商店街はとても活気があります。昔ながらの八百屋さんや呉服店と並んで、移住してきた若い世代が開いたおしゃれなカフェやパン屋、雑貨店が次々とオープンしています。1961年創業のコーヒー豆専門店「COFFEEBOY」など、学生からお年寄り、そして移住者までが世代を超えて集まる場所がたくさんあるため、新しく越してきたご家族でも、心理的な壁を感じることなく街に溶け込みやすい環境が整っています。
2. 同じ市でも別世界?広域合併がもたらした「5つの顔」
山口市の住まい探しにおいて絶対に知っておくべき特徴が、その「広大な面積」です。山口市は平成の大合併によって周辺の町と一つになり、山口県内で一番面積の広い市になりました。 これにより、同じ「山口市民」でありながら、選ぶエリアによって生活のスタイルが全く異なるという、ユニークな環境が生まれました。移住を検討する際は、この「エリアごとの違い」を正しく理解し、ご自身の希望に合った場所を選ぶことが非常に重要です。
県庁や市役所、瑠璃光寺や一の坂川がある歴史と行政の中心地です。スーパーや病院などの生活の便利さと、落ち着いた街並みを両立させたい方に最もおすすめの定番エリアとなります。
山陽新幹線の「新山口駅」がある、交通の要所です。新幹線に乗れば、博多駅まで約34分、広島駅まで約32分というスピードで移動できます。出張が多い方や、都市部と同じようなマンション暮らしを希望する方に絶大な人気があります。
市の南側に位置し、穏やかな瀬戸内海に面したエリアです。車海老の養殖が盛んで、海沿いの公園も整備されています。マリンスポーツや釣りを楽しみたい方、海の近くでのんびり暮らしたい方に向いています。
りんごや梨、トマトなどの栽培が非常に盛んで、農業に挑戦したい移住者にはとても魅力的な土壌です。ただし、冬の厳しい寒さと雪かきにはしっかりとした覚悟が必要です。
新幹線の駅前でバリバリ働くことも、雪深い山間部でりんごを育てながら暮らすことも、すべて同じ「山口市への移住」として実現可能です。だからこそ、「どんな暮らしがしたいか」をご家族で話し合い、明確にすることが家探しの第一歩となります。
3. 移住のハードルを下げる!手厚い「お金の支援策」
移住には、引っ越し代、新しい住まいの契約費用、家具の購入、さらには車の取得など、どうしてもまとまった初期費用がかかります。山口市は、この「お金の負担」を減らしてもらうための支援策に非常に力を入れています。2024〜2026年の最新の制度の中から、特に知っておくべきものを厳選してご紹介します。
交通費・宿泊費を補助する「お試し訪問」
移住を成功させる最大の秘訣は、インターネットの情報だけで決めるのではなく、必ずご自身の足で現地を歩き、スーパーの品揃えや地域の空気を確かめることです。
山口市には「山口市UJIターン訪問補助金」があり、移住の下見や就業に向けた訪問にかかる交通費と滞在費を支援しています。一般的な下見では、交通費は2分の1補助で1人上限3万円、滞在費は2分の1補助で1訪問につき1グループ上限5万円です。18歳以上45歳未満の方が、徳地や阿東を含む農山村エリアでの就業、起業、就職活動のために訪問する場合は、交通費は1人上限5万円、滞在費は1人上限7万円の範囲で全額補助されます。 (city.yamaguchi.lg.jp)
この制度は山口県外から山口市への移住希望者が対象で、訪問前に山口市役所へ相談して、その案内のもとで訪問する必要があります。原則として年度内1回で、通算3回まで利用できます。
使い道が自由で嬉しい!「わくわく移住支援補助金」
実際に移住を決断した際に、最も大きな助けとなるのが「山口市わくわく移住支援補助金」です。東京圏やその他大都市圏から移住し、山口県内で働く(または起業、テレワークをする)方を対象とした大型の給付金です。
お子様1人につき50万円から100万円が加算されます。
・合計受け取り額:300万円
「空き家リノベーション」と「家財道具の処分」も応援
住まいに関する補助金も見逃せません。
市の空き家バンクで見つけた古い家を、市内の業者を使ってリフォームする場合、費用の3分の2(上限60万円)が補助されます(年齢などの条件あり)。水回りのリフォームや傷んだ屋根の修繕にぴったりです。
・家財道具等処分事業補助金:古民家探しでよくある「前の住人の家具や荷物がそのまま残っていて、処分費が怖い」という問題に対しても、処分費用を半額(上限10万円)補助してくれるため、物件選びの選択肢が大きく広がります。
4. 地方でどう働く?起業・テレワークの拠点「Megriba」
「住む場所は良くても、仕事が見つかるかが一番の不安」という声は、移住を考える方からよく聞かれます。山口県内は求人がある一方で、都市部のように幅広い職種がそろっているとは限らず、希望する条件に合う仕事を見つけにくいこともあります。
そこで山口市が進めている支援の一つが、起業や創業、テレワークを後押しする取り組みです。その拠点の一つとなっているのが、新山口駅北口に直結した産業交流スペース「Megriba(メグリバ)」です。Megribaは、仕事をする場所にとどまらず、新しい事業に挑戦したい人や、地域の人とつながりたい人を支える場として活用されています。館内にはコワーキングスペースのほか、シェアキッチンやコミュニティラウンジなどがあり、事業づくりや交流のきっかけを得やすい環境が整っています。 (megriba.jp)
コワーキングスペースでは、Wi Fiや複合機、ロッカーなどの設備が用意されており、テレワークや事業利用にも対応しています。時間利用は1時間300円で、1日あたりの上限も設けられています。飲食店の開業を目指す人などが試験的に出店に取り組めるシェアキッチンもあり、新しい挑戦を始めやすい環境が用意されています。
また、Megribaでは創業相談会などが実施されており、山口市の特定創業支援等事業の対象となる支援を受けられる場合があります。たとえば、1か月以上にわたり4回以上の継続的な支援を受け、必要な知識を身につけた人は、山口市の証明書発行の対象となります。証明書の交付を受けると、要件に応じて会社設立時の登録免許税の軽減などの優遇措置につながります。
地方で新しい働き方や事業づくりに挑戦したい人にとって、Megribaは実際に使いながら相談や交流もできる拠点の一つといえます。
5. 子育て世代にうれしい 高校生世代まで医療費助成を拡大
ご家族での移住では、補助金だけでなく子育てのしやすさも大切なポイントです。山口市では、子育て世帯の負担を軽くする支援が進められています。 (city.yamaguchi.lg.jp)
山口市では、2024年10月からこども医療費助成の対象が高校生世代まで拡大されました。対象は18歳になる年度の3月末までで、受給者証を提示することで、保険診療にかかる自己負担分の助成を受けられます。所得制限が設けられていない点も、子育て世帯にとって安心材料の一つです。
教育面では、山口県全体でコミュニティ・スクールを基盤とした地域連携教育が進められています。学校と家庭、地域が連携しながら、子どもたちの学びや育ちを支える仕組みが整えられています。山口市でも、2024年4月から全市立小中学校で小中一貫教育が行われており、地域とのつながりを生かした学びが進められています。 (pref.yamaguchi.lg.jp)
医療面では、宇部市に山口大学医学部附属病院、防府市に山口県立総合医療センターがあり、山口市から広域の医療機関へつながりやすい環境があります。日々の子育てから専門的な医療まで見据えやすい点は、ご家族で暮らすうえでの安心感につながります。 (yamaguchi-u.ac.jp)
6. 移住検討者からよく聞かれる「実際の生活Q&A」
移住のご相談を受ける中で、特によく聞かれる疑問について、ありのままにお答えします。
A. はい、大人は「1人につき1台」が基本の完全な車社会です。 新幹線の駅は便利ですが、市内の日常の移動(通勤、スーパーへの買い物、子どもの送迎など)には車が欠かせません。バスや電車は30分から数時間に1本程度です。車のローンや購入費とは別に、ガソリン代、毎年の自動車税、任意保険、2年に1回の車検代、冬のスタッドレスタイヤの買い替えなどで、年間数十万円の維持費がかかることを家計の計画に組み込んでおく必要があります。
A. 山口エリアや小郡エリアであれば、不便は全くありません。 大型のショッピングモールや、深夜まで営業しているスーパー、ドラッグストアが多数あり、都市部と変わらない買い物が可能です。ただし、徳地エリアや阿東エリアなどの郊外になると、最寄りのスーパーまで車で数十分かかることもあります。そのため、週末にまとめ買いをしたり、生活協同組合(コープ)の宅配サービスを上手に利用する方が多いです。
A. 住むエリアによって全く違います。 山口エリアや小郡エリア、海側の秋穂エリアでは、年に数回うっすら積もる程度で、日中にはすぐに溶けてしまいます。しかし、北部の「阿東エリア」は豪雪地帯です。冬場はまとまった雪が降り積もり、毎日の雪かきが必要になることもあります。阿東や徳地エリアに住む場合は、冬の暖房費(灯油代や薪代など)も多めに見積もる必要があります。
A. マンションか、郊外の戸建てかによって大きく変わります。 市街地のアパートやマンションであれば、都市部とさほど変わらない距離感で生活できます。しかし、郊外や農山村エリアの戸建て(空き家など)に住む場合は、自治会(町内会)への加入が基本となり、地域の草刈りや川の溝掃除、お祭りのお手伝いなどが定期的に発生します。これを「面倒な作業」と捉えるか、「地域の人と仲良くなるチャンス」と捉えるかで、田舎での暮らしの満足度は大きく変わってきます。
7. 物件探しで見落としてはいけない「2つの注意点」
最後に、長年住まいに関わってきた立場から、見落としがちな生活のリスクを2つお伝えします。
「地方に行けば、安い値段で広い土地が買えるだろう」という思い込みは少し危険です。山口市の場合、新山口駅周辺などの便利なエリアでは、再開発や利便性の高さから土地の需要が高まり、価格が局地的に上がっています。2025年から2026年のデータを見ると、坪単価が約13万円から18万円台で推移しています。 「便利な場所」を優先するなら土地の予算を多めに見積もる必要があり、「安さと広さ」を求めるなら郊外で空き家を探すなど、ご自身の予算と希望のバランスを冷静に見極める必要があります。
どこに住んでも災害のリスクはありますが、住まい探しの際に少し意識しておきたいのが「地震」と「水害」です。 将来想定される「南海トラフ巨大地震」への備えとして、もし1981年(昭和56年)以前の古い基準で建てられた魅力的な古民家を見つけた場合は、購入費用だけでなく、必要に応じて市の補助金なども活用した耐震補強を選択肢として考えておくと安心です。
また、海から離れた内陸部であっても、局地的な大雨などで低い土地に水が溜まる「内水氾濫(ないすいはんらん)」が起きるリスクはゼロではありません。
土地や家を探すときは、価格やデザインだけでなく、普段から市が発行している「ハザードマップ(災害の予測図)」を意識する癖をつけておくのがおすすめです。もちろん、「警戒区域を避けたから絶対に安全」というわけではありません。
ハザードマップを見る一番の目的は、「自分たちが住む場所がどのような環境にあるのかを知っておくこと」です。あらかじめ水が溜まりやすい場所だと分かっていれば、大切なものを2階に置いたり、いざという時の逃げ道をご家族で話し合っておくなど、いざという時に落ち着いて対応しやすくなります。住まい探しの際は、ハザードマップを確認する視点を持ってみてください。
8. まとめ:山口市はどんな人におすすめか?
第12回では、山口市への移住について、地域の魅力だけでなく、実際の生活で知っておきたい点も含めて紹介しました。
山口市は、歴史や文化を身近に感じられるまちでありながら、豊かな自然にも恵まれています。新山口駅を起点に新幹線を利用でき、県外への移動や都市部との行き来がしやすい点も魅力の一つです。
また、子育て世帯にとっては、2024年10月から高校生世代までこども医療費助成の対象が拡大されたことも大きな安心材料です。対象となる子どもについては、保険診療による医療費の自己負担分が助成されます。ただし、保険外診療や入院時の食事療養費などは対象外となる場合があるため、利用前に制度の詳細を確認しておくことが大切です。
一方で、地域によっては日常の移動に車が必要になることがあり、車の購入費や維持費、冬季の運転などを考慮する必要があります。また、山口市は山間部や河川沿いなども含む広い市域を持つため、住む場所を選ぶ際には、洪水・土砂災害などのハザード情報を確認しておくと安心です。
こうした魅力と課題の両方を理解したうえで、自分や家族に合った地域を選びたい方にとって、山口市は移住先の有力な選択肢の一つといえるでしょう。
・車を使う生活や、地域ごとの災害リスクを理解したうえで住まいを選べる方
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