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田舎の空き家になった実家を売却し、お墓を永代供養へ。子どもに迷惑をかけない整理の進め方

はじめに:両親を見送り、田舎に帰る理由がなくなったあなたへ

お盆やお正月、昔は家族みんなで帰っていた田舎の実家。
しかし、ご両親が亡くなられてしまうと、実家へ足を運ぶ理由はすっかりなくなってしまうものです。
誰も住まなくなった家は、ただそこにあるだけで少しずつ傷んでいきます。
草木は伸び放題になり、郵便ポストにはチラシがたまり、風通しをしない部屋にはカビのにおいが漂い始めます。
そして、家と同じように気にかかるのが「田舎にあるお墓」のことではないでしょうか。
「遠くてなかなかお墓参りに行けない」
「誰も住んでいない家の固定資産税を払い続けるのはもったいない」
「でも、親が大切にしてきた家や先祖代々のお墓を自分の代で処分してしまっていいのだろうか」
そんなふうに、心の中で葛藤を抱えている方は本当にたくさんいらっしゃいます。
私はこの不動産の仕事に38年間携わってきましたが、最近はとくにこうしたご相談が増えました。
みなさんが最終的におっしゃるのは、「自分の子どもや孫に、この面倒な作業やお金の負担を残したくない。迷惑をかけたくない」という切実な思いです。
この記事では、田舎の空き家になった実家を片付けて売却する手順と、お墓を整理して永代供養にする(墓じまい)までの流れについて、専門用語を使わずにわかりやすくお話しします。
難しく考えすぎず、一つひとつ順番に進めていけば必ず肩の荷を下ろすことができますよ。

なぜ「実家」と「お墓」の整理を先送りにしてはいけないのか?

実家やお墓の整理は、体力も気力も使います。
だからこそ「まだいいか」「定年退職してから考えよう」と先送りにしてしまいがちです。
しかし、そのままにしておくと、あとでとても困ったことになる事実があります。

1. 空き家を放置するリスクと「お金」の話

家は人が住まなくなると、驚くほどの早さで傷みます。
雨漏りが起きたり、シロアリが発生したり、台風で屋根が飛んで近所の人にケガをさせてしまうかもしれません。
また、国や自治体も「危険な空き家」をそのままにしておくことを厳しく取り締まるようになりました。手入れがされず危険だと判断された空き家(特定空家などと呼ばれます)は、土地の固定資産税の優遇がなくなり、税金がこれまでの何倍にも跳ね上がる仕組みになっています。
さらに、2024年の4月からは「実家を相続したら、必ず自分の名義に変更する手続き(相続登記)をしなければならない」というルールが始まりました。これを放置していると罰金(過料)の対象になることもあります。
誰も使わない家のために、税金や草刈りの費用を払い続けるのは、家計にとって大きな負担になってしまいます。
2. お墓の維持と「無縁仏」の不安
お墓も同じです。お墓はお寺や霊園に「管理費」を払い続ける必要があります。
もし、あなたが元気なうちはお墓参りに行けても、将来あなたが高齢になって運転ができなくなったり、亡くなったりした後はどうなるでしょうか。
都会で暮らす子どもたちにとって、一度も住んだことのない田舎のお墓を守っていくことは、想像以上に負担が重いものです。管理費が途絶え、誰も来なくなったお墓は、いずれ荒れ果てて「無縁仏(むえんぼとけ)」として扱われてしまいます。ご先祖様を大切に思うからこそ、無縁仏にしてしまう前に、今の時代に合った供養の形に変えることが必要なのです。
3. 子どもや孫に「負担」を丸投げしないために
実家とお墓の整理は、親戚同士の話し合いや、たくさんの書類の手続きなど、本当にエネルギーがいります。だからこそ、体力と判断力がある「今のうち」に、あなた自身の手で整理しておくことが、子どもたちへの何よりの贈り物になります。

【第1部】田舎の空き家(実家)を整理して売却する手順

ここからは、実際に空き家を整理して手放すためのステップを見ていきましょう。大きく分けて3つの段階があります。
1. まずは「家の中を空っぽにする」遺品整理から
家を売るにしても解体するにしても、まずは家の中にあるタンスや布団、食器、農機具などの荷物をすべて外に出さなければなりません。
これが一番大変な作業です。長年暮らした家には、トラック何台分もの荷物が眠っています。
これを週末のたびに帰省して自分たちだけで片付けるのは、時間も交通費もかかり、何より体が持ちません。
自分たちで持ち帰る思い出の品や、大切な書類(権利書や通帳など)だけを先に見つけ出して分けたら、残りの大きな家具や生活用品は、思い切って「遺品整理の会社」や「不用品回収の会社」にお願いするのをおすすめします。数十万円の費用はかかりますが、何ヶ月も悩む時間と労力を考えれば、決して高いものではありません。
2. 土地の境界と「名義」を確認する
家を売るためには、その家と土地が「誰のものか」がはっきりしていなければなりません。
よくあるのが、亡くなったお父さんやお祖父さんの名義のままになっているケースです。
名義が亡くなった人のままでは家を売ることはできないので、まずは司法書士という専門家にお願いして、あなたやご兄弟の名義に変更する手続きをします。
また、田舎の土地は「どこからどこまでが自分の土地か」という境界線があいまいなことがよくあります。お隣さんとの境界の目印があるかどうかも、家を売る前に確認しておく大切なポイントです。
3. そのまま売るか、更地(建物を壊して空き地)にして売るか
家の中が片付き、名義の変更が終わったら、いよいよ売却です。
売り方には主に2つの方法があります。
一つ目は「古い家を残したまま、中古住宅として売る」方法です。
最近は、DIY(自分たちで家を改装すること)を楽しむ人や、田舎暮らしに憧れて古い家を安く買いたいという人もいます。もし運良くそういう人が見つかれば、家を壊す費用(解体費)がかからないので、売る側の負担が一番少なくて済みます。
二つ目は「家を壊して、まっさらな土地(更地)にして売る」方法です。
家があまりにも古くて雨漏りや傾きがある場合、そのままでは誰も買ってくれません。
その場合は数百万円かけて家を解体し、土地として売りに出すことになります。
どちらの方法が良いかは、その土地の状況によってまったく違います。ここから先は、地元の事情に詳しい信頼できる不動産会社に相談して、一番負担の少ない方法を一緒に考えてもらうのがよいでしょう。

【第2部】お墓を片付け、永代供養へ移す「墓じまい」の流れ

家を片付けるのと同時に進めたいのが、お墓の整理です。今あるお墓を片付けて、新しいお墓や供養の場所へお骨を移すことを「墓じまい(改葬)」と呼びます。
1. 【一番大切】親戚とお寺への相談
墓じまいで一番トラブルになりやすいのは、「周りの人に相談せず、勝手に進めてしまうこと」です。
まずは、お墓参りをしてくれているご親戚に「年齢的にもお墓を守るのが難しくなってきたので、子どもに負担をかけないよう墓じまいを考えている」と打ち明けてください。きちんと思いを伝えれば、きっと理解してもらえます。
そして、同じくらい大切なのがお寺のご住職へのご挨拶です。いきなり「お墓をやめます」と言うのではなく、「これまでは大変お世話になりました。ただ、私も遠方に住んでおり、子どもたちもこちらには戻らないため、お墓の管理ができずご迷惑をおかけしてしまう前に、永代供養に移そうかと悩んでいます」と、まずは「相談」という形で丁寧にお話ししてください。誠意を持って伝えれば、気持ちよく送り出してくれるはずです。
2. 新しい供養先(永代供養)を決める
今のお墓から取り出したお骨(ご先祖様)を、次にどこへ納めるかを決めます。
子どもに負担をかけない形として選ばれるのが「永代供養(えいたいくよう)」です。
永代供養とは、家族に代わって、お寺や霊園がずっとお骨を管理・供養してくれる仕組みのことです。
毎年の管理費がかからないことが多く、あとくされがありません。
・合祀(ごうし)
 大きな慰霊碑などの下に、他の方のお骨と一緒に納骨する方法です。
 費用は数万円〜十数万円と一番安く済みますが、後から「やっぱりお骨を取り出したい」と思っても出
 すことができません。
・樹木葬(じゅもくそう)
 墓石の代わりに、シンボルとなる木や花の周りにお骨を埋葬する方法です。
 自然に還るイメージがあり、最近とても人気があります。
・納骨堂(のうこつどう)
  ロッカーのような屋内の施設にお骨を納める方法です。天候を気にせずお参りできます。
 ご自身の住んでいる近くの永代供養墓を選べば、これからは思い立ったときにいつでもお参りに行ける
 ようになります。
3. 役所での手続きと、お墓の解体作業
次のお墓が決まったら、今お墓がある市町村の役所へ行き、「改葬許可証(かいそうきょかしょう)」というお骨を移動するための書類を発行してもらいます(手続き自体はそれほど難しくありません)。
書類ができたら、石材店にお願いしてお墓からお骨を取り出し、墓石を解体して、更地にしてお寺に返還します。この墓石の解体にも、広さや場所によりますが数十万円の費用がかかります。

「実家」と「お墓」の整理を同時に進めるコツ

実家の売却と墓じまい。この2つをいっぺんにやろうとすると、パニックになってしまいます。
おすすめの進め方は、無理のないスケジュールを立てることです。
まずは「実家の片付け」から始めてみるのがよいでしょう。実家が売れれば、その売却代金をお墓の解体費用や永代供養の費用に充てることができるからです。すべてを自分たちの貯金から出すのは大変ですが、家を売ったお金で田舎の整理をすべて終わらせることができれば、経済的な負担はずっと軽くなります。
焦る必要はありません。1年〜3年くらいかけて、ゆっくりと、でも確実に前に進めていく気持ちで取り組んでください。

手放すことへの「罪悪感」とどう向き合うか

「親が苦労して建てた家を、私の代で手放していいのだろうか」 「先祖代々のお墓をなくしてしまうなんて、バチが当たるのではないか」
ご相談にいらっしゃる方の多くが、ポロリとこうこぼされます。その優しいお気持ちは、痛いほどよくわかります。しかし、どうかご自身を責めないでください。
時代は変わり、家族の形も暮らし方も大きく変わりました。親御さんが家を建てた時代と今は違うのです。親御さんが一番望んでいるのは、家や石のお墓が残ることでしょうか? きっと違うはずです。ご自身のせいで、あなたやお孫さんが重い負担に苦しみ、家族が揉めることなど、親御さんやご先祖様は絶対に望んでいません。
家を手放すことも、お墓を永代供養に変えることも、決して薄情なことではありません。
今の時代に合わせて、子どもたちに「安心」というバトンを渡すための、とても前向きで思いやりにあふれた決断なのです。

おわりに:心の重荷を下ろし、これからの時間を楽しむために

田舎の実家とお墓の整理は、人生における大きな節目の作業です。手続きも多く、ため息をつきたくなる日もあるかもしれません。しかし、この大仕事を終えた方々は、みなさん一様に「ホッとしました」「肩の荷が下りて、夜ぐっすり眠れるようになりました」と、とても晴れやかなお顔をされます。
「田舎の心配事」がなくなれば、心は驚くほど身軽になります。その身軽さこそが、これからのご自身の人生を心置きなく楽しむための第一歩です。
どこから手をつけていいか分からないときは、ひとりで抱え込まず、まずは地元の事情を知る人に話を聞いてもらってください。私たちのように長く不動産に携わる人間は、ただ家を売るだけでなく、そうしたご家族の悩みを解きほぐすためのお手伝いもしています。
あなたが少しでも早く安心を手に入れ、清々しい気持ちで明日を迎えられるよう、心から応援しております。

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