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土地の境界には2つの線がある?「所有権界」と「筆界」の違いと国庫帰属制度での基準

「自分の家の敷地は、このブロック塀の内側だから、境界はハッキリしている」

毎日の暮らしの中で、ご自身の土地がどこからどこまでなのかを疑う人はほとんどいらっしゃらないと思います。親から受け継いだ土地であったり、何十年も前に買ったマイホームであったりすれば、「昔からここを境界として生活しているのだから間違いはない」と信じて過ごすのがごく当たり前の感覚です。

ですが、いざ「土地を売りたい」「古い家を壊して新しい家を建て替えたい」「親が亡くなって相続の手続きをする」という人生の大きな節目の場面になったとき、突然こんな言葉を耳にして困惑される方がたくさんいらっしゃいます。

「うちの土地、実は境界が2つあると言われたけれど、どういうことだろう?」

境界が2つあると言われても、なんだかピンと来ませんよね。自分の土地を囲っているブロック塀やフェンスは1つしかないはずなのに、なぜ線が2つも存在するのか。

実は、日本の土地には「筆界(ひっかい)」という公的な線と、「所有権界(しょゆうけんかい)」という実際の権利の範囲を示す線の、2種類の境界が存在しているのです。この2つの線が全く同じ場所に重なっていれば何の問題もないのですが、長い年月の間にこの2つがズレてしまっていることが、現場では本当に日常茶飯事のように起きています。

このズレに気づかないまま土地を売ろうとしたり、隣の人と工事の話を進めようとしたりすると、「言った・言わない」の深刻なご近所トラブルになったり、最悪の場合は売買契約が白紙になってしまうことすらあります。

また、最近話題になっている「いらない土地を国に引き取ってもらう制度」を使う際にも、この「境界」の考え方が非常に重要なポイントになってきます。

この記事では、現場でたくさんの土地やお客様の深い悩みに向き合ってきた経験をもとに、「筆界」と「所有権界」の違いや、それぞれの線がどのような場面で使われるのかを、難しい専門用語をできるだけ使わずに解き明かしていきます。

これから土地を売りたい方、相続の予定がある方、あるいは隣の方との境界について少しでも不安がある方は、ご自身の大切な財産を守るためにも、ぜひ最後までじっくりと読んでみてください。

1. 土地の境界にある2つの線、まずは「筆界(ひっかい)」から

まずは1つ目の境界である「筆界(ひっかい)」についてお話しします。普段の生活ではあまり聞きなれない言葉ですよね。習字で使う筆(ふで)という漢字を書きますが、これは昔の土地の数え方に由来しています。

昔から土地は「1筆(いっぴつ)、2筆(にひつ)」と数える習慣があります。例えば「〇〇市〇〇町〇番地」という地番が1つ割り当てられている土地のことを「1筆の土地」と呼びます。

つまり「筆界」とは、法務局(国)に登録されている地番と地番の境目のことです。

もっと分かりやすい日常の言葉で言い換えると、「国が定めた、土地の公式な住所と住所の区切り線」だと思ってください。

筆界の最大の特徴は「当事者同士で勝手に動かせない」こと

この筆界には、絶対に知っておかなければならないとても大切な特徴が1つあります。

それは、「隣同士の話し合いだけで、勝手に線を動かすことは絶対にできない」というルールです。

例えば、お隣の親しい人と庭先で立ち話をしていて、「うちの庭に車を停めたいから、お宅の土地を1メートルくらい譲ってくれないかな」「いいですよ、じゃあここに新しく柵を立てて、今日からここを境界にしましょう」と合意したとします。

このとき、お互いが完全に納得して固い握手を交わし、実際に新しい柵を立てたとしても、国が管理している「筆界」は1ミリも動きません。

筆界は、かつて明治時代の地租改正(税金を集めるための全国的な調査)や、その後の土地区画整理、あるいは過去の正式な測量などによって、国や公的な機関の手で決められた線です。

一度決められた筆界を動かすためには、法務局という役所に出向いて「分筆(ぶんぴつ:土地を細かく分ける手続き)」や「合筆(ごうひつ:土地をくっつける手続き)」といった正式な登記の手続きを踏まなければなりません。

個人同士が「ここを境界にしよう」といくら固く約束しても、登記簿上の公式な境界線である筆界は、昔のままの場所に残り続けるのです。

2. もうひとつの線「所有権界(しょゆうけんかい)」とは?

では、もう1つの境界である「所有権界(しょゆうけんかい)」とは何でしょうか。

こちらは言葉の通り、「実際の所有権(自分のものと言える権利)がおよんでいる範囲の線」のことです。

もっと平たい言葉で言えば、「お互いが『ここからここまでは自分の土地だ』と納得して使っている現実の線」と言えます。

所有権界は「人々の暮らし」の中で動くことがある

所有権界は、先ほど説明した筆界とは大きく違って、土地を持っている人同士の合意や、実際の生活の状況によって動くことがあります。

例えば、こんな場面を想像してみてください。

今から40年前、家を建てるときにお隣さんと「お互いのプライバシーを守るために、このあたりにブロック塀を立てましょう」と決めました。そのとき、本当の測量図をしっかり確認せず、なんとなく「この大きな石がある横あたりかな」と適当にブロック塀を積んでしまったとします。

それから40年間、お隣同士で一度もトラブルになることなく、「このブロック塀の内側がうちの敷地だ」とお互いに信じ切って生活してきました。

この場合、実際の生活空間や権利の範囲としての「所有権界」は、その40年前に作られたブロック塀のラインになります。

さらに、日本の法律(民法)には「時効取得(じこうしゅとく)」という仕組みがあります。本当は他人の土地であっても、自分の土地だと信じて長年(条件によって10年〜20年以上)平穏に使い続けていると、法的に自分の所有権として認められることがあるのです。

このように、人々の暮らしの歴史や、話し合い、時間の経過によって少しずつ形作られていくのが「所有権界」なのです。

3. なぜ「筆界」と「所有権界」はズレてしまうのか?よくある4つの原因

ここまで読んでいただいて、「法的な線である筆界と、現実の線である所有権界がズレるなんて、そんなこと本当に起きるの?」と不思議に思われたかもしれません。

ですが、現場で土地に関わっていると、「ズレていない土地を探すほうが難しい」と言いたくなるくらい、世の中にはこの2つがズレている土地が山のようにあります。

なぜ、そんなズレが生まれてしまうのか。現場でよく遭遇する主な原因を4つに分けてご紹介します。

原因①:昔のブロック塀や垣根が、そもそも正確ではなかった

昭和の時代やそれ以前、家を建てたり外構の工事をしたりするとき、わざわざ高額な費用を払ってまで精密な測量を入れることは多くありませんでした。

「まあ、この木が植えてあるところの横あたりに塀を立てておけばいいだろう」 「工事の職人さんが『大体ここですね』って言ったから、そこにフェンスを作ってもらった」

こんな風にして、なんとなく作られたブロック塀や垣根が、今もそのまま残っているケースが非常に多いのです。当時はおおらかな時代でしたから誰からも文句は出ませんでしたが、今の時代になってミリ単位で測り直してみると、公的な「筆界」から20センチも30センチもズレていた、なんてことが日常茶飯事のように起こります。

原因②:ご近所同士の「優しい口約束」が時代を経て変わってしまった

昔の田舎や古い住宅地では、ご近所同士の付き合いが今よりもずっと密接でした。

「お宅の車、止めにくそうだから、うちの敷地を少し貸してあげるよ。そこに砂利を敷いて使いなさい」 「子供が家を建てるから、日当たりを良くするために、境界を少し後ろに下げて塀を作っておくね」

こういった、ご近所同士の優しい口約束や親心が、世代を超えて受け継がれるうちに、「昔からここが境界だったはずだ」と勘違いされてしまうことがあります。

約束をしたおじいちゃんやおばあちゃん同士がご健在のうちは「あそこは貸しているだけだからね」と分かっていても、子供や孫の世代に代替わりすると「ずっとうちが使っているんだから、ここはうちの土地だ」と思い込んでしまい、現実の所有権界と、役所にある筆界の間に大きなズレが生じてしまうのです。

原因③:法務局に保管されている「昔の図面」の精度が低かった

意外に思われるかもしれませんが、法務局という国のお堅い役所に保管されている古い図面(いわゆる「公図」や「和紙公図」と呼ばれるもの)の中には、明治時代の技術で作られたものが今でも現役で使われている地域があります。

当時の測量技術は、現代のようなレーザー機器やGPSなどありません。竹の尺や縄を使って人力で測っていた時代です。山をいくつ超えたか、どこに大きな木があるかといった、とても大まかな情報で作られた図面も残っています。

そのため、公図に描かれている土地の形や長さが、実際の現地の地形と全く合っていないということが珍しくありません。図面(筆界)そのものが現実の地形とズレているのですから、そこに住んでいる人の所有権界と一致しないのはある意味当然とも言えます。

原因④:土地の一部を売買したのに、登記の手続きを忘れていた

昔、「隣の土地を少しだけ譲ってもらった」という経験を持つ方がいらっしゃいます。

きちんとお金を払い、領収書ももらい、手書きの念書も交わした。だから自分の土地になったと安心して何十年も使ってきた。

しかし、法務局に行って「分筆」や「所有権移転」の登記手続きをしていなかったというケースです。

この場合、お金を払った側の「所有権界」は買い取った分まで確かに広がっていますが、国の管理する「筆界」は昔のまま元の位置に取り残されてしまいます。これも典型的なズレの原因です。

4. この2つの境界線、実際の生活でどう使い分けられる?深刻なトラブルになる場面

「筆界と所有権界がズレていても、普段ご飯を食べて寝て生活する分には何も困らないじゃないか」

確かにその通りです。何事もなく静かに暮らしている間は、ズレがあっても問題が表面化することはありません。しかし、人生の大きな節目や、土地を動かそうとした瞬間に、この違いが突然巨大な壁となって立ちふさがります。

それぞれの線がどのような場面で使われ、どのように問題になるのかを見ていきましょう。

場面①:土地を売却するとき(厳密な「筆界」が求められる)

今の時代、不動産を売却するときは、買い手の方に対して「ここからここまでが、法的に正しい土地の範囲です」という証拠(確定測量図など)を提示するのが当たり前の取引になっています。

もし、今あるブロック塀の位置(所有権界)と、公的な線(筆界)がズレていることが判明したらどうなるでしょうか。

買い手からすれば、「将来、隣の人と裁判沙汰になるかもしれない怪しい土地」に見えてしまいますよね。住宅ローンを貸してくれる銀行も、境界がはっきりしていない土地にはお金を貸してくれないことがほとんどです。

「売りたいのに、境界のズレが原因で買主が見つからない」 「ズレを解決するために何十万、何百万という測量代や弁護士費用がかかってしまった」

土地を売って老後の資金にしようと思っていた方にとって、これは本当に切実で胃の痛くなる問題です。不動産取引の現場では、確固たる「筆界」が求められるのです。

場面②:家を建て替えるとき(建築基準法と「筆界」)

古い家を壊して新しい家を建てようとするとき、建築士やハウスメーカーの担当者は必ず敷地を正確に測量します。

その際、お隣の敷地に自分の家の軒先や雨どいがはみ出していないか(越境していないか)、道路との関係で法的なセットバック(敷地を下げること)が必要かなどを厳密にチェックします。建物を建てるための許可(建築確認)を下ろす役所は、公的な「筆界」を基準に判断をします。

もし筆界と所有権界がズレていて、隣の人が「そこはうちの筆界の中だから、塀を壊して退かせてくれ」「建築工事を止めてくれ」と言い出したらどうでしょうか。

せっかく工務店と契約して夢のマイホームの資材も手配したのに、工事が完全にストップしてしまいます。毎日のようにお隣と話し合いを重ね、心身ともに疲れ果ててしまう施主様を、私は何度も見てきました。

場面③:相続した土地を手放す「相続土地国庫帰属制度」を使うとき(「所有権界」が基準になる)

最近、社会問題になっている「いらない土地(所有者不明土地)」を解決するため、令和5年(2023年)4月から「相続土地国庫帰属制度(そうぞくとちこっこきぞくせいど)」という新しい法律がスタートしました。これは、相続したけれど使い道のない土地を、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえるという画期的な制度です。

しかし、国もどんな土地でも引き取ってくれるわけではありません。国が引き取りを拒否する条件(却下要件)の1つに、「境界が明らかでない土地」や「所有権の範囲について争いがある土地」というものがあります。

ここで非常に重要なポイントがあります。この国庫帰属制度で国が求めている「明らかな境界」とは、公的な「筆界」ではなく、私法上の「所有権界」であるということです。

「えっ、国が引き取るのだから、役所の線である『筆界』を厳密に測量しないといけないんじゃないの?」と思われるかもしれません。

しかし、この制度では、わざわざ数十万円もの高い費用を払って「筆界の確定測量」や「図面の修正登記(地積更正登記など)」まで行う必要はありません。なぜなら、国が一番懸念しているのは、引き取った後に隣接者から「そこは自分の土地だ」と権利争いが勃発することだからです。

つまり、「お隣さんとの間で、『ここからここまでが申請する土地ですね』という実際の権利の範囲(所有権界)について完全な合意があり、一切の争いがないこと」が最も重視されます。

もし、お隣と意見の食い違いがあったとしても、お互いに話し合って「じゃあ、このラインを境界として納得しましょう」と合意できれば、それで「所有権界」が確定します。

その合意したラインに目印(境界標など)を立て、お互いの認識に相違がない状態(争いがない状態)を作ることができれば、役所の図面(筆界)を書き換える高額な測量費用をかけなくても、国庫帰属制度の条件をクリアすることができます。

制度を使う人にとっては「無駄な測量費用をかけずに済む」という大きなメリットがある反面、裏を返せば「お隣さんと所有権界について少しでも争いがあれば、国は絶対に引き取ってくれない」というシビアな条件でもあるのです。

法務局公式ページ「相続土地国庫帰属制度について」

5. ズレが見つかってしまったら?解決に向けた具体的なステップ

もし、ご自分の土地で「筆界と所有権界がズレているかもしれない」「お隣と主張が食い違っている」という状態が分かった場合、どうすれば良いのでしょうか。

パニックになる必要はありません。順を追って解決法を探っていきましょう。

ステップ①:法務局で「公図」や「地積測量図」を取得して現状を知る

最初の一歩は、客観的な現状を正しく把握することです。

お近くの法務局に行くか、インターネットの法務局サービスを利用して、ご自分の土地の「公図(こうず)」や「地積測量図(ちせきそくりょうず)」という書類を取り寄せてみましょう。

  • 公図:土地の形や、周りの地番との位置関係が描かれた地図のようなもの。

  • 地積測量図:過去に測量が行われた際、土地の正確な面積や辺の長さ、境界標の位置が記録された図面。

(※古い土地の場合、地積測量図が存在しないこともあります)

これらの書類を見ることで、昔どんな形で登記されたのか、公的な線(筆界)のヒントを得ることができます。

ステップ②:土地家屋調査士に「確定測量」を依頼する

法務局の書類だけでは、実際の現地とどうズレているのかを素人が判断するのは不可能です。そこで頼りになるのが、土地の測量と境界の確認をする専門家である「土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)」です。

先ほどお話しした「国庫帰属制度」の申請をする場合でも、隣の方と境界について分かりやすく説明し合い、トラブルなく図面をまとめるためには、日頃からその業務を行っている土地家屋調査士に相談して間に入ってもらうことで、円滑に手続きを進めることができるケースがほとんどです。

土地家屋調査士に依頼して「確定測量」を行ってもらい、法務局の古い資料や現地の状況を調べた上で、お隣の所有者立ち会いのもとで「ここが筆界ですね」という確認を行います。

お隣さんも納得して全員が同意書に判を押せば、現地に永続的な「境界標(コンクリートの杭など)」を打ち込み、筆界と所有権界をピタッと一致させることができます。これが一番平和的で理想的な解決方法です。

お隣と意見が合わない場合の解決手段

ですが、人間同士のことですから、どうしてもお隣さんが立ち会いに応じてくれなかったり、「昔からの塀が境界だ!絶対に譲らない!」と主張を曲げないこともあります。

そんなとき、裁判(裁判所に訴える)となると、決着がつくまでに何年もかかり、弁護士費用などで数百万円単位のお金が飛んでいってしまいます。そこで、国が用意した便利な解決手段があります。

それが『筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)』です。

これは裁判に行かず、法務局の専門官や土地家屋調査士などの専門家チームが、昔の資料や現地の状況を科学的に調査し、「行政として、ここが正しい筆界だと判断します」という答えを出してくれる制度です。

お隣さんが話し合いを拒否していても申請を進めることができ、費用も裁判に比べてかなり安く、期間も半年から1年程度とスピーディです。困ったときにはこの制度の利用を検討してみるのも一つの手です。

6. 大切な土地と家族を守るため、今日からご自身でできる3つのこと

「うちの土地は大丈夫かしら…」と心配になった方もいらっしゃるかもしれません。

境界トラブルを未然に防ぎ、大切な資産を守るために、ご自身で今すぐにできる大切なポイントを3つお伝えします。

① 自分の土地の「境界標(杭や金属プレート)」を探してみる

天気の良い日に、一度ご自分の家の敷地の四隅(角っこ)をじっくり観察してみてください。

地面にコンクリートの杭や、赤い矢印が刻まれた金属のプレート、丸い金属ビスなどが打ち込まれているでしょうか?

もしそれらの「境界標」が見つかれば、過去にしっかりと測量が行われ、お隣とも合意が取れている可能性が高いです。逆に、「草に埋もれていて見当たらない」「外構工事のときに抜いてしまった」という場合は注意が必要です。境界標は、あなたの土地を守る大事な目印ですので、日頃から大切に扱いましょう。

② お隣さんとの「日常的な挨拶やコミュニケーション」

「不動産の話なのに、ご近所付き合い?」と思われるかもしれませんが、実はこれが現場で一番効く予防策です。

境界トラブルの9割以上は、土地そのものの問題というよりも「感情の崩壊」から始まります。

普段から「おはようございます」「いつも綺麗なお花ですね」と声を掛け合えている関係であれば、いざ境界の確認や立ち会いをお願いしたときも、「あ、ご近所さんのためなら喜んで立ち会いますよ」と快く応じてくださることがほとんどです。境界を守る一番の盾は、実は日常の笑顔のご近所付き合いなのです。

③ 「売る予定」「建てる予定」がなくても、早めに調べておく

「まだ今すぐ土地を売るわけじゃないから、まあいいか」と後回しにするのが一番危険です。

なぜなら、お隣の土地の所有者が高齢になり、認知症になってしまったり、亡くなって相続人が全国に散らばってしまうと、境界の立ち会い確認が一気に難しくなるからです。

お隣の古い地主さんがご健在で、昔の経緯をよく覚えている今のうちに、「境界の杭ってどこでしたっけ?」と確認しておいたり、必要に応じて専門家に相談しておくことが、最大の安心につながります。

まとめ:土地の境界を知ることは、家族と未来を守ること

今回は、「筆界(ひっかい)」と「所有権界(しょゆうけんかい)」という、一見すると難しそうな2つの境界の違いや、国庫帰属制度における基準についてお話ししてきました。

自分の土地の境界を正しく知ることは、単に「敷地の広さを調べる」ということではありません。

それは、これまでその土地で暮らしてきた歴史を整理し、将来その土地を引き継ぐ子供たちや、次に使ってくれる新しい所有者へ、トラブルのない綺麗なバトンを渡すための優しさであり、大切な準備なのです。

もし「うちの土地の境界がよく分からない」「ブロック塀がズレている気がして不安…」ということがあれば、一人で抱え込まずに、お近くの土地家屋調査士などの専門窓口に気軽に声をかけてみてくださいね。

土地の歴史を紐解き、不安のないスッキリした気持ちで毎日を過ごしていただけることを、心から応援しています。

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