土地情報の図面や販売チラシを見ているとき、備考欄に小さくこんな言葉が書かれているのを見たことはありませんか?
「砂防指定地(さぼうしていち)有」
「日当たりも良くて、広さも価格も理想的!」と思って飛びつきそうになったとき、この見慣れない漢字5文字が目に入ると、「これって何? 買っても大丈夫なの?」と不安になりますよね。
実はこの言葉、あまり日常会話には出てきませんが、家を建てる上では「見逃すと痛い目を見る」非常に重要なキーワードなんです。
今回は、気に入った土地が「砂防法」のエリアだったときに、諦める前に必ず確認してほしい「購入前の必須チェックリスト」をご紹介します。
これを読めば、その土地が「買い」なのか「見送り」なのか、冷静に判断できるようになりますよ!
1. そもそも「砂防法」とは?なぜ家づくりに関係するの?
「砂防法」は、明治30年(1897年)に制定された、日本の国土を守るためのとても古い法律です。
「下流の人」を守るためのルール
日本は山が多く、雨も多い国です。大雨で土砂崩れが起きると、その土砂が川を一気に下り、下流の町に甚大な被害を与えます。 これを防ぐために、行政は土砂崩れが起きそうなエリアを「砂防指定地」に指定し、「ここを勝手にいじったらダメ!」と監視しています。
これが、あなたの家づくりに制限がかかる理由です。
2. 具体的に「何をしてはいけない」のか?
砂防指定地内では、自分の土地であっても都道府県知事の許可なしに以下のことをしてはいけません。
1. 土地の形状を変える(切土・盛土) 家を建てるために斜面を削ったり、土を盛って平らにしたり
すること。
2. 木や竹を切る 木の根っこは地面を支えているため、伐採も制限対象です。
3. 土や砂利を持っていく
4. 工作物の設置(家や車庫を建てる)
つまり、「家を建てる=地面に手を入れる」ことになるので、必ず許可申請が必要になるのです。
3. 家は建つけど…覚悟すべき「3つのハードル」
「許可を取ればいいだけでしょ?」と思うかもしれませんが、ここには3つのハードルがあります。
ハードル①:スケジュールの遅れ
許可申請には、専門家が書いた図面や構造計算書が必要です。 申請してから許可が下りるまで、自治体にもよりますが標準で1ヶ月〜2ヶ月ほどかかります。 「来月着工したい!」という急ぎのスケジュールは通じないことが多いです。
ハードル②:建築コストの増加
ここが一番のネックです。 行政は「土砂災害が起きないように安全に作ってね」と指示を出します。
そのため、以下のような追加工事が必要になることがあります。
・高額な擁壁(ようへき)工事: 山留めのためのコンクリート壁を作る。
・基礎の補強: 建物の基礎を通常より深く、頑丈にする。
これだけで、数百万円単位で予算が変わることも珍しくありません。
ハードル③:将来のメンテナンス
自分の敷地内にある擁壁(ようへき)などが古くなった場合、その補修責任は基本的に土地の所有者(あなた)にあります。 特殊な場所にあるため、補修費用も割高になる傾向があります。
4. 契約前に絶対確認!「4つのチェックリスト」
もし検討中の土地が砂防指定地だったら、契約書にハンコを押す前に、以下の4点を必ずチェックしてください。
✅ チェック1:その土地は「指定地」に入っているか?
不動産会社の担当者に「重要事項説明書」の案を見せてもらいましょう。
「砂防法」の欄にチェックが入っているか、備考欄にどんな記載があるかを確認します。
✅ チェック2:具体的な「制限内容」は何か?
一口に砂防指定地といっても、厳しいエリアと緩いエリアがあります。
「この土地で家を建てる場合、どんな許可条件がつきそうですか?」と担当者に質問し、
管轄の土木事務所等に確認してもらいましょう。
✅ チェック3:既存の「擁壁」は安全か?
もし古い擁壁がすでにある場合、それが「現在の安全基準(検査済証があるか)」を満たしているかが
超重要です。 もし基準を満たしていない場合、家を建てる際に「擁壁のやり直し(数百万円コース)」
を命じられるリスクがあります。
✅ チェック4:災害リスクを許容できるか?
砂防指定地は、行政が「土砂災害のリスクがある」と認めている場所です。
ハザードマップを重ねて確認し、「大雨の日は早めに避難する」といった心構えができるか、
家族で話し合いましょう。
5. まとめ:条件次第では「お買い得」な土地にもなる
「なんだか怖そうだからやめておこう…」 そう思うのも一つの正解ですが、実はメリットもあります。
①眺望が良い: 高台や傾斜地が多く、景色が素晴らしい。
②土地が安い: 制限がある分、相場より安く手に入る。
【今回のまとめ】
砂防指定地でも家は建つ(許可が必要)。
ただし、許可取得に時間がかかる。
安全対策(擁壁など)で建築コストが上がる可能性がある。
「既存の擁壁」が安全かどうかが、予算を左右する最大のカギ。
重要なのは、「リスクとコストを事前に知っていること」です。 これさえ把握していれば、
予算オーバーで後悔することはありません。
「この土地、安いけど擁壁が心配…」 「専門的なことはよくわからないから、代わりに調べてほしい!」
そんなときは、ぜひご相談ください。
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この記事は2026年時点の法令に基づき作成しています。具体的な建築計画については、必ず各自治体の担当窓口や専門家にご確認ください。
