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家じまいの現実──「50年大丈夫」と言い切れる家はあるのか?

家は「永遠」ではない
マイホームを建てるとき、誰もが「一生もの」のつもりで考えます。
しかし、不動産業界に長く携わってきた私の実感を率直に言えば──**「家は50年もたない」**というのが現実です。
もちろん、構造的にはまだ使える家もあります。
けれども、設備・間取り・地域環境・維持費など、**“暮らしとしての寿命”**を考えれば、50年経ってもそのまま住み続けられる家はごくわずかです。
その先に待っているのが、「家じまい」という選択です。

「家じまい」とは何か
「家じまい」とは、親や自分の代で家を終わらせる決断を意味します。
具体的には以下のような行動を指します。
家財の整理・処分(生前整理・遺品整理を含む)
建物の解体・更地化
登記・名義の整理
土地の売却や相続対策
簡単に言えば、「家の幕を引く」作業です。
高齢化が進み、空き家問題が全国的に深刻化している今こそ、誰もが避けて通れないテーマとなっています。

「家じまい」を考えるタイミング
多くの方が家じまいを意識するのは、
親が高齢になり、施設や病院に入るとき
相続で家を引き継いだものの、誰も住まなくなったとき
修繕費が重くのしかかるようになったとき
こうしたタイミングです。
築40年を過ぎると、屋根や外壁、水回り、シロアリ、給湯設備など、次々に修繕が必要になります。
仮にフルリフォームをすれば1,000万円を超えることも珍しくありません。
「残す」か「閉じる」か──。
家じまいは、その判断を迫られる現実的な場面なのです。

私からの警鐘:「50年もつ家」への幻想
不動産業を長く見てきた立場から、あえて申し上げたい。
「50年もつ家」など、ほとんど存在しません。
シロアリ防除の保証は5年。
屋根(スレート)の再塗装は10年が目安。
給湯器やエコキュートの寿命は15年程度。
外壁のシーリング材も10〜15年で劣化。
こうした“メンテナンスサイクル”を理解せずに、
「この家は丈夫だから安心」と思い込んでしまうのは危険です。
実際、築40年を超える家では、雨漏り・基礎のひび・設備の更新不能など、
「住む」こと自体がリスクになるケースも見てきました。

「家じまい」は決して悲しいことではない
多くの方が「先祖代々の家を壊すなんて申し訳ない」と口にされます。
しかし、家じまいとは**“家族の思い出を整理し、次の世代の負担を減らす”ための前向きな行動**です。
残してしまえば、将来の相続人が困ります。
放置すれば、草木が繁り、倒壊の危険が生まれ、固定資産税だけが重くのしかかります。
「自分の代で片づけておく」ことこそが、
家族にとっての“最後の思いやり”になるのです。

家じまいの進め方の基本ステップ
家財の整理
 不用品の処分・貴重品の確認・リサイクルの検討など。
登記・名義の確認
 相続登記未了のまま放置すると、家を売ることも解体することもできません。
解体・更地化
 老朽化が進んでいる家は、倒壊リスクを防ぐためにも早めの対応が安心です。
土地の活用・売却
 地元の不動産会社に相談し、売却・貸地・駐車場などの活用方法を検討します。
行政制度の活用
 自治体によっては、老朽家屋の解体費用を補助してくれる制度もあります。

終わりに:「住まいの幕引き」を自分の手で
家じまいは「終わり」ではなく、**「次の始まり」**です。
家を閉じることで、心にも空間にも新しい風が通る。
そして、家族の未来を軽くすることができる。
もし今、
「この家をどうしようか」と迷っている方がいたら、
“まだ動けるうちに考える”ことをお勧めします。
「50年もつ家」より、「50年後に後悔しない選択」を。
それが、これからの時代の住まい方ではないでしょうか。
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