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『善良な管理者の注意義務』とは?―不動産に関わる人なら知っておきたい基本知識

■ 「善良な管理者の注意義務」って何?
「善良な管理者の注意義務(ぜんりょうなかんりしゃのちゅういぎむ)」とは、
他人の財産や権利を扱うときに、その分野の専門家や一般的に良識ある人が行うのと同程度の注意を払う義務のことをいいます。
法律上は、民法第400条に根拠があります。
民法第400条(善良なる管理者の注意)
債務者は、特別の定めがないときは、善良な管理者の注意をもってその債務を履行しなければならない。
つまり、「自分のもの」ではなく「人のもの」を扱うときは、通常よりも高いレベルの注意が求められるということです。

■ 不動産業界での「善管注意義務」
不動産の世界では、「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」という言葉でよく使われます。
例えば、以下のような場面で登場します。
賃貸借契約における 賃借人(借主)
管理委託契約における 不動産管理会社
共有不動産の 代表者や管理人
▼ 賃貸借契約の場合
借主は、借りた部屋や建物を「自分のもの」ではなく「他人の財産」として、善良な管理者の注意義務をもって使用・保管しなければなりません。
たとえば、通常の使用で劣化した設備の故障は借主の責任ではありませんが、
タバコの焦げ跡を放置したり、水漏れを放っておいて建物を損傷させた場合には、この義務を怠ったとして損害賠償責任を問われることがあります。

■ 管理会社やオーナーに求められる「善管注意義務」
不動産管理会社やオーナー側にも、この義務が及びます。
たとえば、管理委託契約を結んだ管理会社は、
「所有者の代理」として入居者対応・建物維持を行うため、プロとしての適切な管理・判断・報告が求められます。
例:
雨漏りや設備不良を放置しない
入居者からのクレームに迅速に対応する
法令改正に基づく管理基準(例:アスベスト・消防・防火管理など)を守る
こうした対応を怠ると、管理会社自身が損害賠償責任を負う可能性もあります。

■ 「善管注意義務違反」と判断されるケース
裁判例では、次のようなケースで違反が認められています。
建物管理会社が、雨漏りの苦情を長期間放置し建物の損傷を拡大させた
借主が退去時に、通常損耗を超える損害(壁の穴、畳の焦げ跡など)を放置した
駐車場管理者が、危険な構造を知りながら放置して事故を招いた
要するに、「注意すれば防げた損害」を放置した場合に、善管注意義務違反と見なされるのです。

■ 善管注意義務を果たすためにできること
日常点検・報告の徹底
 建物・設備の不具合は早期発見が重要です。
法令・契約内容の理解
 契約で定められた義務や法改正を把握することで、トラブルを未然に防げます。
記録を残す(写真・報告書など)
 「対応した証拠」を残すことで、後のトラブル防止になります。
専門家への相談
 判断に迷うときは、弁護士や宅建士などに早めに相談を。

■ まとめ:信頼を守るための「注意義務」
「善良な管理者の注意義務」は、単なる法律用語ではなく、
不動産に携わるすべての人の「信頼」を守るための基本姿勢です。
借主であれば「人の物を大切に使うこと」、
管理会社であれば「専門家としての責任を果たすこと」。
それが、結果的に「信頼される不動産取引」につながっていきます。

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