不動産相談や遺品整理の事なら(株)ジャスティス(田布施町の不動産会社)

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

――「借りたときの状態に戻す」って、どこまで?
賃貸住宅に住んでいると、必ず耳にするのが「原状回復」という言葉。
引っ越しのときに敷金が戻るかどうか、大家さんと揉めるのもこの「原状回復」が原因であることが多いのです。
でも実は、原状回復の意味を誤解している方がとても多いのをご存じでしょうか?
今日は、国土交通省が定めた**「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」**をもとに、分かりやすく解説していきます。

原状回復って「元通りにすること」じゃない?
「原状回復」と聞くと、多くの人は「借りたときと同じ状態に戻す」と思いがちです。
しかし、ガイドラインで示されているのはそれとは少し違います。
👉 原状回復とは、借主の故意・過失や通常の使用方法を超える使い方によって生じた損耗や毀損を復旧すること。
つまり、
経年劣化や通常使用による消耗は、借主が負担しなくてよい
というのが大原則なのです。

借主が負担しなくてよいケース(例)
壁紙の日焼けやポスター跡の変色
家具を置いていた部分の床のへこみ
設備の寿命による故障(給湯器など)
これは「普通に生活していれば自然と起きること」なので、大家さんの負担となります。

借主が負担すべきケース(例)
タバコのヤニや臭いによる壁や天井の汚れ
ペットによる傷や臭い
結露を放置してカビを発生させた
水をこぼしたのに放置してフローリングを腐らせた
これは「通常の使い方では防げた損耗」や「注意を怠ったことによる毀損」とみなされるため、借主が修繕費用を負担します。

よくあるトラブルの原因
認識のズレ
 大家さんは「借りたときと同じにしてほしい」と思い、借主は「自然に傷んだ部分は仕方ない」と考える。
 このすれ違いが争いの火種になります。
契約書に細かい記載がない
 「原状回復は借主負担」とだけ書かれていても、法的にはガイドラインの考え方が優先されるケースが多いです。
説明不足
 入居時にきちんと「どこまでが借主負担か」を説明していないと、退去時に大きなトラブルになります。

ガイドラインの位置づけ
国土交通省のガイドラインは法的な強制力はありません
しかし、裁判例や実務では**「合理的な基準」**として大変重視されています。
そのため、大家さんも借主も、このガイドラインを理解しておくことがトラブル防止につながります。

トラブルを防ぐためのポイント
入居時にチェックリストや写真で部屋の状態を記録する
契約書の特約をよく確認する(ガイドラインを超える負担を定めることもある)
退去が近づいたら、不安な点を早めに管理会社や大家さんに相談する

まとめ
「原状回復」とは、決して「部屋を借りたときの状態に完全に戻すこと」ではありません。
あくまで借主の過失や不注意によって生じた損耗を直すこと
経年劣化や自然な消耗は大家さんの負担です。
ガイドラインの内容を知っておくだけで、退去時の不安やトラブルはぐっと減ります。
これから引っ越しを考えている方も、今住んでいる方も、ぜひ一度確認しておくことをおすすめします。
モバイルバージョンを終了