全国的に空き家が増えています。総務省の「住宅・土地統計調査」(2018年)によれば、日本の空き家は849万戸、住宅総数の13.6%にあたります。この数字は今後さらに増えると予測されており、空き家対策は社会的な課題になっています。
そんな中、近年注目されているのが 「民泊」 です。観光客や出張者に空き家を宿泊施設として貸し出すことで、遊休不動産を収益化する手段として脚光を浴びています。
1. 民泊とは?法律で決まっている3つの形態
民泊は単なる「家を貸す」だけではありません。日本では以下の3つの形態があります。
住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法)
住宅宿泊事業法(2018年施行)に基づき、年間180日以内の営業が可能
届出は都道府県や政令指定都市の窓口で行う
届出番号を取得し、保健所や消防法上の基準を満たす必要あり
特区民泊
国家戦略特区の条例に基づく民泊
営業日数の上限はなく、特区ごとに規制内容が異なる
東京大田区、大阪府・市、北九州市などが実施
旅館業法に基づく簡易宿所営業
年間営業日数の制限なし
宿泊施設としての設備や面積基準を満たす必要がある
旅館業法の許可を取得
2. 空き家を民泊にするメリット
収益化できる
長期間放置していた空き家でも、宿泊施設として貸せば収入が見込めます。
長期間放置していた空き家でも、宿泊施設として貸せば収入が見込めます。
建物の劣化防止
人が住まない家は劣化が早く進みます。定期的に使用されることで通風・清掃が行われ、傷みを軽減できます。
人が住まない家は劣化が早く進みます。定期的に使用されることで通風・清掃が行われ、傷みを軽減できます。
地域活性化に貢献
観光客や出張者の滞在によって、地域の飲食店や商店の利用が増える効果もあります。
観光客や出張者の滞在によって、地域の飲食店や商店の利用が増える効果もあります。
3. 注意すべきデメリットとリスク
法令遵守の負担
消防設備や衛生管理など、基準を満たすための改修工事や設備投資が必要になる場合があります。
消防設備や衛生管理など、基準を満たすための改修工事や設備投資が必要になる場合があります。
近隣トラブルの可能性
騒音やゴミ出しルール違反など、宿泊者によるマナー問題で近隣住民とトラブルになることも。
騒音やゴミ出しルール違反など、宿泊者によるマナー問題で近隣住民とトラブルになることも。
稼働率の不安定さ
観光シーズンやイベント時は稼働率が高くても、オフシーズンは空室が増える可能性があります。
観光シーズンやイベント時は稼働率が高くても、オフシーズンは空室が増える可能性があります。
4. 空き家活用としての民泊成功のポイント
立地選びが最重要
観光地や駅から近い物件は集客しやすいですが、地方でも「特色ある体験」を提供できれば需要はあります。
観光地や駅から近い物件は集客しやすいですが、地方でも「特色ある体験」を提供できれば需要はあります。
運営代行サービスの活用
掃除、鍵の受け渡し、ゲスト対応を委託すれば、オーナーの負担を大幅に減らせます。
掃除、鍵の受け渡し、ゲスト対応を委託すれば、オーナーの負担を大幅に減らせます。
法的手続きの正確な実施
無許可営業は罰則があります。必ず事前に行政や専門家に確認を。
無許可営業は罰則があります。必ず事前に行政や専門家に確認を。
まとめ
空き家を民泊として活用することは、資産を有効に生かし、地域にもプラスの効果をもたらす可能性があります。ただし、法律・条例の遵守、近隣への配慮、適切な運営体制が不可欠です。
「ただ貸す」から「安全に、魅力的に運営する」へ――。
これが空き家民泊成功のカギです。
これが空き家民泊成功のカギです。